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入退室管理システムで使われる電気錠の種類と違い・選び方

オフィスのセキュリティ強化を目的として入退室管理システムを導入する際、ICカードリーダーや顔認証端末といった「認証システム」にばかり目が向きがちです。しかし、実際に扉を施錠・解錠する役割を持つ「電気錠(でんきじょう)」の選定も同じくらい極めて重要です。

電気錠にはいくつかの代表的な種類があり、それぞれ「電気を流したときにどう動くか」「停電したときに鍵が開くか・閉まるか」といった仕組みや特徴が大きく異なります。自社の扉の形状や、導入するエリアの用途(オフィスの外周、サーバー室、非常口など)に合わない電気錠を選んでしまうと、防犯性が低下したり、災害時の避難に支障をきたしたりするリスクがあります。本記事では、電気錠の主な種類とその違い、オフィスに導入する際の最適な選び方について詳しく解説します。

電気錠とは?電子錠との違い

種類について解説する前に、混同されやすい「電気錠」と「電子錠」の違いについて整理しておきましょう。どちらも電気の力で制御する鍵ですが、配線や電源の仕組みに明確な違いがあります。

電気錠は、建物の壁や扉の内部に電気配線を通し、常時AC電源から電力を供給して動作するシステムです。入退室管理システムや火災報知器などの外部設備と高度に連動させることが可能で、大規模なオフィスビルや強固なセキュリティが求められる場所に採用されます。

一方、電子錠(スマートロックなど)は、配線工事を行わず本体に内蔵された乾電池やバッテリーで動作する独立した鍵を指します。手軽に後付けできるメリットがありますが、電気錠に比べると耐久性や他システムとの連動性には制限があります。

入退室管理システムで使われる電気錠の4つの種類と違い

入退室管理システムと組み合わせて運用される電気錠は、主に以下の4つのタイプに分類されます。それぞれの動作メカニズムや、停電時の挙動における違いを理解しておきましょう。

1. 通電時解錠型(つうでんじかいじょうがた)

普段(電気が流れていない状態)は施錠されており、電気を流している間だけ解錠状態になる電気錠です。オフィスビルのエントランスや一般的な部屋の入り口に最も広く採用されています。

停電時の挙動:施錠(南京錠マーク)

停電によって電力の供給がストップすると、自動的に「施錠(鍵がかかった状態)」になります。そのため、万が一の停電時にも部外者が外部から侵入することを防げる防犯性の高さが強みです。

運用時の注意点

室内から退出する際は、停電時であっても内側のドアノブ(サムターン)を手動で回すことで物理的に解錠して外に出られる設計(アンチパニック機能)になっている製品を選ぶのが一般的です。

2. 通電時施錠型(つうでんじせじょうがた)

普段(電気が流れていない状態)は解錠されており、電気を流している間だけ施錠状態になる電気錠です。主にマンションの共用玄関や、火災時の避難経路となる非常口などに採用されます。

停電時の挙動:解錠(鍵あけマーク)

停電して電気が遮断されると、自動的に「解錠(鍵が開いた状態)」になります。火災などの災害でビル全体の電源が落ちた際、避難を妨げずに誰もがスムーズに屋外へ脱出できるようにするための防災優先の設計です。

運用時の注意点

防犯よりも安全性を最優先した仕組みであるため、重要機密を扱うサーバー室や金庫室など、「停電時であっても絶対に部外者を入れたくない部屋」には不向きです。

3. モーター錠(もーたーじょう)

鍵の内部に小型のモーターが内蔵されており、電気の力でモーターを回転させることで、物理的にデッドボルト(かんぬき)を出し入れする電気錠です。

停電時の挙動:直前の状態を維持

停電が起きた時点の「施錠」または「解錠」の状態をそのまま維持します。電気が切れたからといって勝手に鍵が開いたり閉まったりしないため、運用が安定しています。

高い耐久性と確実性

電磁石で一時的に固定するタイプとは異なり、金属のかんぬきで物理的にロックするため、極めて高い強度を誇ります。オフィスの外周扉や重たい強固な扉、使用頻度の高い通用口などに最適です。

4. 電磁錠(でんじじょう)

扉とドア枠のそれぞれに電磁石と吸着板を取り付け、強力な磁力の吸着によって扉を固定する電気錠です。鍵穴や可動するパーツ(かんぬき)がないのが大きな特徴です。

停電時の挙動:解錠(鍵あけマーク)

磁力によってロックしているため、停電して電気が止まると磁力が消え、自動的に「解錠」状態になります。後付けが比較的容易で、スライドドア(引戸)やガラス扉など、通常のかんぬき型電気錠が取り付けにくい特殊な扉にも設置できるのがメリットです。

【比較表】電気錠の種類ごとの特徴・違いまとめ

ここまでご紹介した4つの電気錠の違いを、導入に適した場所や停電時の動きで比較できるよう一覧表にまとめました。

電気錠の種類 電気供給時の状態 停電時の状態 主な適した設置場所
通電時解錠型 解錠する 施錠(閉まる) 一般オフィス入り口、勝手口
通電時施錠型 施錠する 解錠(開く) 非常口、ビルの主要避難経路
モーター錠 モーターで開閉 直前の状態を維持 外周の重い扉、夜間通用口
電磁錠 磁力で施錠する 解錠(開く) ガラス扉、引き戸、後付け対応扉

オフィスの扉に合わせた電気錠の選び方のポイント

電気錠を選ぶ際は、ただ防犯性を高めるだけでなく、建物の構造や利用する人間の安全性とのバランスを考慮する必要があります。以下の2つのポイントを押さえておきましょう。

設置する部屋のセキュリティレベルに合わせる

サーバー室や重要書類保管庫のように、企業の生命線となるエリアには「通電時解錠型」や「モーター錠」が適しています。万が一の停電時にも部外者の侵入リスクをシャットアウトできるからです。一方で、全社的な避難経路にあたる扉には「通電時施錠型」や消防連動を施した「電磁錠」を選ぶなど、部屋の重要度と安全性のバランスを考慮した組み合わせが求められます。

扉の「開き方」や「材質」を確認する

一般的な前後に開閉する「開き戸(スイングドア)」であれば大半の電気錠が設置可能ですが、左右にスライドする「引き戸」や、枠が金属ではない「全面ガラス扉」などの場合、内部にメカを埋め込む通電時解錠型などは設置できません。こうした特殊な扉には、表面に後付けできる「電磁錠」が選ばれるケースがほとんどです。自社の扉の仕様を事前に専門業者に見てもらいましょう。

まとめ

入退室管理システムを支える電気錠には、通電時解錠型・通電時施錠型・モーター錠・電磁錠といった種類があり、停電時の挙動や設置に適した扉のタイプに大きな違いがあります。オフィスの防犯性と災害時の安全性を両立させるためには、それぞれの特徴を正しく理解し、設置場所に応じた適切な製品を選定することが重要です。電気錠の選定や配線工事には専門的な知見が必要となるため、まずは入退室管理システムを取り扱う施工業者へ相談し、最適なプランを提案してもらうことをおすすめします。

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